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19

「あっ、雪」
大きく口を開けた天井から、白い天使が舞い降りてくる。
「私は白色が嫌いです」
彼女は雪を見てそう言った。
「どうして?俺は白色って結構気に入ってるんだけどな」
「あの場所と同じ色だから」
彼女は俺と違い、物心付いた後もあの場所にいたから嫌なのだろうか。
「じゃあさ、何にもない“無”って色に例えると何色だと思う?」
あえて話題を変えず、質問する。
「黒だと思う。何にも見えなくて、感じない。そんな感じがするから・・・」
「そっか、でも俺は白だと思う」
どうして、と彼女は聞いてくる。イメージは人それぞれだ。“無”という例えだって人によっては変わってくるだろう。
それを強要するつもりもないし、捉えかたもその人の個性だ。
ただ、伝えたいことが恥ずかしいから遠まわしにこの話題を続けている訳であって・・・。
「絵具と一緒だよ。黒は黒色という色に染まっている。何色だって初めは白いキャンパスに塗ることから始まって最後に絵として完成するだろう?だから、きっと俺たちはまだ白色なんだよ」
「―――確かにそう言われると一理あるかもですね。でも、どうして私たちも白色なんですか?」
「そっ、それはだな、何て言うか。言いにくいんだけど―――」
やばい。マジで恥ずかしくなってきた。
「――俺たちは今から自分や他人の色に染まっていくんだから、多少のミスなんて塗り潰せるだろう。えーっと、つまりだな、今回はこうして大惨事となった訳だけど、その片瀬さんが責任を感じる必要はないと言うか、迷惑じゃないというか・・・」
カッコよく決まる決まらない以前に、キョトンとしている。もういっそうのこと笑ってくれた方がこっちとしては有り難い。
「だから、もし嫌じゃなかったらこれからも一緒にいないか?俺たちの色が嫌いじゃなかったらこれからも一緒に・・・」
もう言わずとも分かる。
だって彼女は――――。
「ははっ、やっぱり片瀬さんは泣き虫だな」
「もう、見ないでくださいよ。じゃあ、私からも一ついいですか」
このシチュエーションでは何かと厳しいのですが・・・。
「な、何でしょうか?」
「その、えっとですね。さ、さっきみたいにこれからは私のことを由利と呼んで貰えませんか?」
二人とも真っ赤になる。今にもアドレナリン分泌で傷口が裂けそうだ。
「あー、由利。これでいい?」
「駄目ですよ。そんなんじゃ感情が籠ってないです」
言ったのは由利ではなく、不機嫌そうに突っ立っている早紀だった。
「もう、見ていれません。膝枕とかあまりにお二人がアツアツなものですから先に帰らせて頂こうと思いましたが、このままだといつまでここにいることになるか分かったものじゃありませんから」
腰に手をあてた姿は最早、仁王像にしか見えない。
「ほら、肩を貸してください。帰りますよ。――――に、兄さん」
「あぁ、帰ろうか」
オレンジ色に染まる町、白い雪が織り成す風景。
そんな中、肩を並べて三つの影はゆっくりと家路に向けて歩きだした。
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白雲まくら

Author:白雲まくら
会社員となり、日々ストレスとの戦い。
また、睡魔を相手に日々戦っております。






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