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6/悠遠の町


私は誰なのだろう
ふと、忙しくなくなると気づく存在の意味
きっとそれは自分の奥底にある
刻まれた記憶
残された約束
懐かしきは昔見た悠遠の町














雪降る街並みは動く影もあまりなく、建物と雪との色が混じり合う世界。
辺りは肌寒く、冬を感じさせる中、誰もが新年を迎えている。
 あれほどの事件があったにも拘らず、あまり大々的に報道されなかったのは裏でいろいろと隠蔽されたのだろう。と父も言っていた。
あの後、初めてだろうか。父と面を向かって話した。
あっさりと事実を認め、短く「済まなかった」といわれた。そのただの一言がなぜか今までの蟠りさえも消された気がした。
 謝られた後はやたら他愛もない話を何時間もし続けたと思う。
その後もこうして家族としていつも通りの毎日を過ごしている。


「遅い・・・」
息も白く染まり、人ごみで溢れ返っている場所でかれこれ二十分待ち続けている。
初詣に行こうと言いだしたのは前にもそういった話をしていて、ちょうどいい機会だったからだ。
待ち合わせ場所にしている玉蜀黍の近くの橋の上。
ここを渡って行くのが一番の近道でもある。
「お待たせしました」
おおっと、お待たせされました。
そこにいるのは振袖を着こなした由利がいた。
振り袖姿とはまた準備がいいとしか言いようがない。
「女の子の用意には時間がかかるんですよー」
うちの妹君も振り袖姿だった。
「似合ってるよ。二人とも。てか、早紀は一年中その格好の方が女の子らしく見えるぞ」
なにおう、と腕を捲る。捲るな、捲るな。
「じゃあ行こうか、もう混んでるし」


何事も無かったかのように過ぎていく毎日。少し前の出来事など黒板を消すように人の記憶から消えていく。こうしてまた新しい年になって、また次の年と繰り返して行くのだろう。楽しいことも、嫌なことも白紙に戻して、また一から始めるのだ。
それが普通の生き方で、当り前で、理想の・・・・。

――オマエハ、チガウダロウ?
「くっ」
頭にノイズが走る。脳の奥底に響き渡る。誰にも話しかけられた訳でもなく、聞こえたその声は、聞きなれたその声の主は紛れもなく―――――――。
「大丈夫ですか?」
ふと、横から聞こえた声。
あぁ、これはちゃんとした人の声だ。
「えっ、あ、あぁ大丈夫。ちょっと立眩みがね。きっと、人ごみにやられちゃったのかも」
辺りの喧騒も正月らしいムードに包まれ、人だかりはより活気にあふれていた。
そう思えば人ごみに酔ったと言うのも間違いではないだろう。
ここ最近はいつもこんな感じだ。何かあるたびに眩暈が伴ってくる。あの駅での事件の後からと言えばあの辺りからになる。術を行使した後の後遺症だろう。と父は言っていた。その辺は詳しくもないし恐らくはそうなのかもしれない。早紀には「夜遊びが過ぎるから寝不足なんです、いいですかそもそも兄さんは――以下略」と言い説教をくらうのは畢境なので話してはいない。
「兄さんは夜更かしばかりするから寝不足なだけですよ」
ほら、言わずとも向こうから切り出してきやがった。恐ろしや。
そばにいる由利は、入道雲のような綿飴に視線が釘付けである。上の空というのは正しくこ今みたいなの感じを指すのだろう。
「涎出てるよ」
「ふぁ、え、へ!」
一体どこの言語だ。
我に帰るや否や顔を真っ赤にして恥しがる。だが、涎など出てもいないことに気づくとぽかぽかと叩いてくる。
「涎なんて出ていないじゃないですか、もう、意地悪ですー」
こういうのも悪くない。
いや、こういうのは悪くない。むしろいい。
これに妹の冷たい視線以外はかなり和むと言ってもいいだろう。
「待ってる間に、買ってきたらどうだ?どうせ野口待ってるんだし、ここにいるからついでに買ってきてくれよ。綿飴に興味津々な人もいることですし」
妹の機嫌取りも兼ねて3人分の料金を早紀に渡す。
「さすが兄さん、ゴチになります」
我が妹ながら現金な性格である。
「やっぱりいじわるです!」
そう言い残しながらも楽しそうに綿飴の屋台へ向かう二人を見つめながら、人ごみから離れた木に寄りかかる。野口に関しては今日も朝早くからの手伝い(要はバイト)があり、終わり次第来るとのことでもうそろそろ着いてもいい頃合いなのである。

「おい、兄ちゃん」
近くで呼ぶ声がしたような気がした。もちろん知り合いでもないので関係ない。
「そこのあんただって」
 トラブルにでもなっているのだろうか。それならあまり関わらない方がよさそうだ。目線をなるべく逸らしてこう。
「おい、木の傍で誰かを待ってそうな感じの雰囲気を漂わせてるそこの兄ちゃん」
それにしてもやたら、丁寧に説明する人もいたものだ。これだけ丁寧に呼んでいるんだ、そろそろ気づいてやれよと心の底から思う。何よりも彼が不憫だ。
「ちょい、マジあんただって。如何にも他人です、近づかないでくださいというか、見ないで、話しかけないでください的なオーラを出さないでくれよ」
 おいおい、ここまで言われて答えてやらないなんてどんだけ酷いやつなんだ。
そんなオーラ出してる奴が気になって周辺の木々を見渡す。
 木に寄り添ってる奴など自分以外いなかった。
「俺のこと?」
「さっきから言ってるだろう、あんた以外いねぇだろうが!」
かなり興奮気味である。悪いことをした気持ちでいっぱいだがここはちゃんとしなければいけない。無視したとまでは言わないが、気が付いてあげれなかった俺の責任でもある訳だ。もちろん赤の他人である。それでも何か用があったに違いない。
「えーっと、間に合ってますので」
「何がだよ!」
本当に何がだよ、だった。
「で、何か用なの?」
「何って、あんまり緊張感のない奴だなー。聞いてたのと大違いだ」
「聞いてた?」
反射的に身構えてしまった。
一瞬、ぽかんとした男は、納得したような顔で。
「はじめまして、それでいいんだ。気を抜いたら、いつ首を落とされるか分からからな」
「アンタ・・・」
「おおっと、今は争い事は無し。せっかくお祭りなのに血祭りなんて嫌だぜ」
両手を上げ、笑っていても、一度付いた印象はなかなか消えないものだ。
「今日は挨拶だけだよ。たまたま見かけたんでね。それに俺はどうこうしろなんて言われてないから関係ないさ。ただ―――」
「ただ?」

「――興味は持ったけどな、お前さんに」

「待て!」
じゃあまたの機会に、と後ろ手に振りながら去ろうとする男といつの間にか呼び止めていた。係わるべきではないと分かっている、危険だと分かっているのに何故か繋がりを欲しがっているような矛盾した感覚。
「何?」
「あっ、いや、なんでもない」
男は納得したように、微笑みながら最後に言葉を言い放つ。
「名前は次に会う時に言ってやるよ。約束だ」
それは小さな宣戦布告だった。
 

「おまたせ、待った?」
男に言われても、うれしいことなど一つもない。
「あぁ、かなり待った」
「えー、そこは勘弁してくれよ。て、『かなり待った』は酷いぜ」
 走ってきたのであろう、息を切らして現れた野口に対しての一言がこれである。
「冗談じゃない、いや冗談だ」
「言いなおされても本音出てんじゃん」
それにしてもこいつの姿はやたら目を引く。こうも女性に注目を浴びると自意識過剰かもしれないが、気になって仕方がない。似合っていない訳でなく、むしろ似合い過ぎでいるのだ。元々、短めのスポーティな髪形で雰囲気が若々しい好青年。傍から見たらジャニーズである。本音を言えばあの時止めを刺しておけばよかったのかもしれない。
「どうした?櫂」
「いや、何でもない」
「そうか、そういや二人はどうしたの?」
野口は気が付いていないが、二人が帰ってきているのを確認できたため、面白そうなので作り話を始めることにした。
「いやな、早紀がさ。『お兄ちゃんお願い、どうしても綿菓子が食べたいの』とか珍しく言い出すから、仕方なくお金を渡したんだ。そしたら横で涎を垂らしつつも我慢する由利がいてな、けど遠慮されたら、逆になんか見てて可哀そうになってきてこうして、あのもふもふを頬張っている二人がいいタイミングで帰ってきている訳だ」
そう言われて、確認した野口の目に映ったのは綿菓子を右手に全速力で走ってくる早紀の姿だった。

ローリングソバットという技をご存じだろうか、知らないのであれば調べてほしい。キーワードにプロレスと虎仮面が出てくるかもしれない。そんな後ろ回し蹴り。今時の女子高生はそういった技にも精通しているらしい。
「兄さん!私がそんなこと言う訳ないでしょう。そもそもお兄ちゃんなんて言う訳…」
そう言いつつ、ぽっと、頬を染める妹さん。
しかし、普通なら可愛らしいであろうその行為も今となってはプラスマイナスゼロである。むしろマイナスと言えよう。
「いや、妹さん。櫂、白目向いて倒れてるから聞こえてないと思うよ」
 野口、フォローありがとう。ただこの場合のフォローは世界はネットでで繋がっている、そんな感じな最近流行りのコミュニケーション方法ではないことをあえて伝えておこう。
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逆さまの世界 新章開始と同時にお久しぶりです

ひとまず切りのいい所で終えていた逆さまの世界を本格的に進めていくことにしました。
逆さまの世界 2章1話結構ボリュームつけました★

もうひとつの作品は進めているにもかかわらず、いまだにタイトルが決まらないという始末。

試験がある程度終わったので、またブログをなるべく更新したく思います。

登場人物の背景が分からない方は前を読むことをおすすめしますが、じゃないと背景が分かりません。2巻から読んでもわかる。的な考慮はナッシングです。

何せ番号をいちいち押すのが面倒なことでしょう。
近々続きがすぐ読めるようリンクを張り直しますのでなにとぞご勘弁を。

いっぺんブログ内を工事しますよ~。

毎度ながらのご訪問ありがとうございます♪

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ここ2、3日自分探しの旅…、旅行に行っておりました。

久しぶりにブログを更新せねばと思い、日記を書かしていただこうかと。
公務員試験が9月の半ばに音を立てて近づいてきたため、ひとまず、一時的に休止。

前々から友達と決めていた東京に行くという計画だけは遂行しました。


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鷲宮神社で祈願です。絵馬に1000円だと!払ってやんよ!
的なのりで最近練習してる模写を一つ。

ブラックロックシューターです。


あとは渋谷やフクロウなど。


あと生まれて初めてアニサマという場所に繰り出しました。
右手が筋肉痛です。


ひとま報告です。9月ごろには筆記試験が一段落するのでその後あたりからまた小説を。
ブログはちょくちょく見てますので、大丈夫です。ではでは

テーマ : よし今書いておこう♪
ジャンル : 日記

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白雲まくら

Author:白雲まくら
会社員となり、日々ストレスとの戦い。
また、睡魔を相手に日々戦っております。






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