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5

何すればよかったっけ。言われた奴は全員始末した。
メールに対象の捕獲及び関係者の始末ときている。人、使いすぎ。
まあいいか。次の仕事だ。殺しが出来るなら何でもいい。それしか出来ることがなかったから望みがかなうなら何だってしてやる。ただ、いつも思うけど場所くらい書いとけよ。


三人による長い説教も終わった。
長谷川は今日のところはひとまず帰った。今度おごってもらうという条件付きで。そして我が妹は徘徊好きの兄を連れて帰るため身構えている。
「そうだ早紀。なんでおまえ俺を迎えに来る必要があったんだ。どうせ誰も気にしないだろうが」
「まぁ、そうなんですけど、最近外が物騒なんで父さんが・・・」
あのおやじが帰って来い?頭を打ってもそんなことは言わないに決まっている。
「外で死なれたらうちの評判が下がるって、だからあれを渡して来いって言うんだもん」
閃楽(せんらく)か、部屋の奥にしまっていたのに良く見つけたな・・・。
「ちょっと待て、閃楽なんて持って外歩けるかよ。銃刀法違反じゃねぇか。てか、なんで隠し場所を知ってるんだよ。あそこには確か俺の秘蔵の・・・」
「あれは私の独断と偏見で処分しときました」
なんとまあ大胆な行動を、痛すぎて泣きそうだ。
「ちなみに私はいつも鞄に入れていますよ。妃幻(ひげん)」
閃楽と妃幻はうちで生まれたら必ず貰う護身用の小刀の名前だ。刀身以外はすべて上質な樫の木で覆われていて、やくざの皆さんがお持ちの形と言えば分りやすいと思う。なんせ特注なので質で売りさばいたらメルセデスが二台買えるくらいの代物らしい。
「マジで、つーか持っとけっていうだけなら帰る必要ないだろうが」
「確かにそうですけど、最近兄さん夜遊びが過ぎるっていうか、メールしてきたくせに帰ってこないじゃないですか。それに女遊びが多いみたいですしね。まさか美砂にまで手を出していたとは妹として無視は出来ません。ですからたまには家でゆっくりと兄さんの将来を考えてあげようかなというかわいい妹の心遣いです」
「結構です。それより用が済んだなら帰ったほうがいいんじゃねぇか。もう七時だし。知らない居酒屋に中三の女子高生は疑われるぞ」
「ご心配には及びませんよ。玄さんは父さんの知り合いですし、先ほど連絡を入れておきましたから」
「えっ、玄さんって親父の知り合いだったの?」
そうだよ。と普通に答える玄さん。じゃあ俺のプチ家出は親公認みたいなもんじゃねぇか。かなりショックだ。
喜美恵さんは片瀬さんを連れて買ってきた服を楽しんでいる最中だ。今のうちに聞いておくとするか
「じゃあ今日、お前が泊まるのは分かったが、閃楽を持って来るほど物騒なことが起こっているのか」
知らなかったのとあきれた顔をする。あたりまえだ。
「うん。被害者の死に方が引き千切られたり、食われたりといろいろ。とにかく、普通じゃないんだって」
知らなかった。と玄さん。あんたも知らなかったんだ。
「それなら仕方ないか。分かった。ありがとな」
「別にいいわよ。気にしないで」
おまたせーっとタイミングよく喜美恵さん登場。買ってきた服を披露する。その姿に照れる玄さん。あんたらラブラブだな。と突っ込みたくなるが・・・
「どうですか。合っているといいんだけど」
白色のセーターに薄い黒のロングスカート。さらにたくし上げられた髪が上手い具合にあっている。
「似合ってる。――すごく似合っているよ」
分かる。分かるよ。玄さん。その気持ち。
そのころバカな男二人を見て呆れる妹と完璧に蚊帳の外の浩平は終わるのを暇そうに待っていた。


似たような奴一人。二人。三人。全部ハズレだ。くそっ、めんどくさい。今で四十二人目。さっきの奴は弱かったな。抵抗すらしなかった。橋の近くってこの辺か。もう少しでノルマが終わる。次は上物だったら良いけどな。不味かったら文句言ってやる高原の野郎。


冬はあたりが暗くなるのが早い。外に出るとかなり冷えるので人気はない。夏はクーラー。冬はストーブ。便利なものだ。インドアが増えるのも頷ける。
「あったけー。ストーブ最高」
昨日、片瀬さんにいろいろと話してもらう予定だった。だが、美砂ちゃんと浩平はもう帰ったから今はいないので良いとして、珍客のせいで明日に延期となった。
「まったく、だらしない。少しは遠慮して下さい」
「男の人はみなこんなものよ。早紀ちゃん」
本人らの前でよく言える。これだから女の人は怖い。まぁ今はそんなことよりも手元にある閃楽が気になる。二年前から物置に仕舞い込んだまま一度たりとも触っていない。それなのに昨日まで普通に使っていたかのような感覚。握っても吸い込まれるように馴染む感触。自分専用に作られたとはいえ、二年もの歳月を経てなお昔と変わらぬままの刀に生命を感じるといえば可笑しいが、駆り立てられるような――が消えない。
「どうかしましたか?顔色が良くないですよ」
「あぁ、大丈夫。少し考え事をしていただけだから。ありがとう片瀬さん」
それならよかった。と微笑むが、いきなり何かを感じたのか外に目をやる。
「敵が来ます。危険ですから皆さん下がってください」
戸を開けてみるがそれらしい人影はない。
「別に誰もいないようだけど」
「橋のそばです。探知用の魔術が反応したんです。これ以上迷惑はかけられません。時間を稼ぎますからその間に――」
魔術?なんだそれ、オカルトでもない限り聞くこともない言葉だ。
でも確かに間違えてはいない。
異常なほど殺気立って近づいてきているのが、一人確認できた。あそこまで敵対心を剥き出しにされたら、いやでも敵だと分かる。
「だめだ。女の子一人置いて行くなんて出来ない」
「いえ、ここは私が、相手に魔術対策が施されていても、戦う術は持っていますから」
そういうと右袖から短剣を取り出す。ナイフよりペーパーナイフくらいの長さ。西洋の剣(レイピア)を思わせるような両刃のもの。あんなものよく袖に隠せたな・・・じゃない。そんなモン忍ばしていたのか、全然違和感なかったぞ。
「でも見る限りだとアイツ結構やばいぞ。一人でどうこう出来るレベルじゃないだろう」
手には俺の閃楽と同じくらいの長さはあるアーミーナイフ。刀身に輝きはなく、黒ずんでいる。先端から落ちる雫。水溜りは赤。その者の所業は言わずとも得物が語ってくれている。
「野口高志(のぐちたかし)。そう言われれば、確かにあの人が相手じゃ倒しようがないんですけど・・・」
「分かった。じゃあ、やっぱりここに残る。どうせ逃げても俺達を殺しに来るんだろう?」
申し訳ないように、はいと小さく返事をする。
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テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

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Author:白雲まくら
会社員となり、日々ストレスとの戦い。
また、睡魔を相手に日々戦っております。






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